端末代実質タダの裏。
昔高校の友人が「スマートフォンなんだから略したらスマ \”フォ\” だよな」って言ってたのを何となく最近思い出しました。いや、何ということはないんですけど。
スマートフォンのパケット定額サービスで、端末代0円!とか銘打っているものがほとんどですが、それにはちょっとしたカラクリがあるのをご存知でしょうか。
てっきり私は、キャリア契約者は百も承知の上で価格操作で高止まりしているスマホを使い回しているものとばかり思っていましたが、どうやらそうでもないみたいなのでちょっとここで言及しておきます。
まずdocomo、au、Softbankの各キャリアとソニー、SHARP、富士通などのメーカーがどういう関係の下何をやっているのかというと、もちろんメーカーがスマホを作っているというのは当たり前なのですが、基本的にメーカーは階層的にはキャリアの傘下に置かれている立場で、下請業者のようなものなんです。
例えばdocomoがソニーにこれこれこういう仕様でdocomo向けのスマホを生産してくれと言ったら、そこからソニーは企画書通りの製品を作り上げます。auやSoftbankもまた別口で同じくソニーにキャリア専用のスマホを作ってくれと言いつけます。
キャリアはとりあえず自分たちの料金プランで利鞘が得られる程度の端末しか作らせません。基本的にフルスペックで全部入りっていうのは作られにくいんです。メーカーにはそれなりの開発力があるはずなのに、それをキャリアが制限してるってことですね。
で、製造された端末本来の値段ですが、当然ゼロではありません。まだあの程度のスペックですし、どう見積もっても定価ほど高くもないとは思うのですが、今のパソコン、タブレット市場とそのレベル、慢性的円安を加味するとやはりラップトップに匹敵する処理能力をあれだけ小さい箱に詰めているのですから、6~8万だったら妥当なのだと思います。
で、それを0円にするカラクリです。
根本的にキャリア契約をしている私たちが端末代以外に取られている料金から逆算します。そうです通信料です。
docomoのパケホーダイ フラットが、具体的な数値なんてよく分かりませんが大体6,000円前後でしたね。でもガラケー時代、パケホはもっと安かったです。4,000円くらい? まずその2,000円があからさまな追加的利潤と考えられます。
ですが、通信基盤は十二分に確立されていると考えていい三大キャリアです。サーバー、インフラ維持費は当然永久にかかってくるでしょうが、これまで十数年継続していた料金プランを続けるばかりか更に吊り上げる必要などあるのでしょうか。市場は既にPPM分析で言うところの「金のなる木」と化しています。値段を上げたところで情報通信事業自体に新しい付加価値が付くわけではないんです。
つまり、もはや適正価格はMVNOとほぼ同等がいいところであり、そう考えるとブランドが名高いという点を加味しても通信代として徴収して然るべきなのは月額3,000円程度が関の山。そうすると現在との差額3,000円が利益として浮いて出ます。
一般的なユーザーは大体一つの端末を24ヶ月使いますから、1回の契約で得られるトータル利潤は3,000 × 24 = 72,000円で、これが大体スマホの定価と一致します。ただキャリア側がメーカーから定価で同じように買っているのだとしたら逆に支払いが嵩み利益がゼロになってしまいますから、ここからキャリアが買い叩きを行っていることが見えてきます。
つまり、結論を言うと、端末代がタダになっているのではなく、タダとして扱った分を何だかよく分からないままに通信料としてまとめて徴収してしまおうというのが、今現在のキャリアのやり口なんですね。だっておかしいじゃないですか。MVNOがこれだけ格安プランを売り出しているのに、そして店頭スタッフでさえもそれを認識しているのに、低価格競争に参入しないまま既得権益を保持しようとし続けるなんて。実際は通信料が不当に高過ぎるのではなく、色々一括で請求しすぎて、これ以上低くできない、というのが現実です。
別にだからといってキャリアが悪いわけではないし、どうやっても白ロムで種々の問題が発生している以上はキャリア純正SIMが圧倒的に使いやすいわけですから、それで納得できるのであれば私は誰も否定するつもりはありません。ただ、そういう裏があるんだよ、という事実を知って頂きたく、手短に説明したまででありました。おしまい。